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民事信託コラム 第6回 『受益者連続型信託について』

2016年06月07日

前回の民事信託コラム第5回で紹介しました、所有者「山田父親」が所有している不動産を民事信託契約により、委任者「山田父親」兼受益者「山田父親」、受託者「山田長男」にした場合を例にとって、信託不動産の登記が登記簿上どのように記載されているかを紹介しました。

その際、権利部(乙区)の部分を文書のみで説明させていただいたので、大変分かり辛かったかと思います。

今回、権利部(乙区)の部分を追加記載しましたので、一般的な権利登記から民事信託契約後の登記簿の記載例を、今回末尾に記載させていただきましたので、そちらをご覧になって頂き、権利部(乙区)に変化がないことをご確認下さい。

今回は民事信託契約後、数年が経過して委任者兼受益者である「山田父親」が死亡した場合、登記簿の記載がどう変わるかと言った本日のテーマである、いわゆる「受益者連続型信託」についてご紹介していきます。

この「受益者連続型信託」は、山田父親が生前、民事信託契約を締結する際に、当初は「山田父親」本人が「委託者」=「受益者」となり、「山田長男」が「受託者」となって、山田長男に「不動産の管理を託すよ!」と言って契約したもので、その際、山田父親が近い将来自分が死んだ場合、或いは認知症になった場合を想定して(今回は記載例は死亡した場合を記載)、次の受益者は「山田長女」になることまで決め、民事信託契約を締結することになります。

この受益者連続型信託は山田長女の後、次の受益者を「孫」、その次の受益者に「ひ孫」と言ったように連続して受益者を指定することも出来ます。

このように、受益者が連続して次の世代に受け継がれていく信託契約を行った場合で、「山田父親」が亡くなった場合の記載例を紫色で示しております。

ご覧のとおり、記載内容が変わるのは、信託目録の受益者「山田父親」が、死亡原因により新たに「山田長女」に変更となったことが追加記載されるだけで、権利部の(甲区)(乙区)ともに変更がないことがお分かりになると思います。

このように、登記簿を一見すると登記目的欄に「所有権移転」の文字がかかれ、信託契約によって所有権が移転したかのように見えますが、良く見れば「権利者その他の事項」の欄に「原因 信託」と明記されており、更に「信託目録」が付記され、信託の内容及びその経過が記録されており、本当の権利移転ではなく、信託による名義のみの変更であることが分かります。

ゆわば、信託不動産が現在どのようになっているか、第3者に対抗できる内容が記載されているものとなっており、信託の登記は一般的に行われる「相続登記」とは全く異なるものとなっています。

ゆえに、受益者の「山田父親」死亡による、次の二次受益者である「山田長女」への変更は遺産分割協議書も他の相続人の印鑑証明も、亡くなった方の戸籍謄本も必要なく、受託者の「山田長男」の単独申請で登記を済ませることが出来ますし、登録免許税に関しても、不動産1件あたり1,000円で出来てしますと言うメリットもあります。

このように、今回、登記簿の記載例に基づき、受益者連続型信託を紹介してきましたが、民事信託契約を締結する際は、今まで民法の世界では法定相続人として遺産分割協議に登場し、相続財産を貰えていた者が廃除され、遺産分割協議のテーブルにさえ就くことができないと言った、揉める相続(争続)に発展しかねない危険性をはらんでいます。

次回は、こうした揉める相続(争続)を未然に防ぐための注意点や民事信託契約の終了方法等を紹介して行きたいと思います。

<信託契約後>の記載例

権利部(甲区)(所有権に関する事項)

順位番号

登記の目的

受付年月日・受付番号

権利者その他の事項

所有権移転

平成×年××月××日

第○○○号

原因 平成×年××月××日売買

所有者 ○○県○○市・・・

山田父親

  2

所有権移転

平成△△年△△月△△日

第○○○○号

原因 平成△△年△△月△△日信託

受託者 △△県△△市・・・

山田長男

信託

信託目録第□□号

権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)

順位番号

登記の目的

受付年月日・受付番号

権利者その他の事項

根抵当権設定

平成×年××月××日

第○○○号

原因 平成×年××月××日設定

極度額 金1,000万円

債権の範囲 銀行取引 手形債権 小切手債権

債務者 ○○県○○市・・・

山田父親

根抵当権者 ○○県○○市・・・

株式会社 ○○銀行

共同担保 目録(×)第○○〇〇号

信託目録

調整

番号

受付年月日・受付番号

予備

第□□号

平成△△年△△月△△日第○○○○号

1委任者に関する事項

○○県○○市・・・

山田父親

2受託者に関する事項

△△県△△市・・・

山田長男

3受益者に関する事項

所有者 ○○県○○市・・・

山田父親

受益者変更

平成28年○○月〇〇日第〇〇〇〇号

原因28年○○月〇〇日山田父親死亡

受益者 △△県△△市・・・

山田長女

⇒そのまま最初の受益者の記録が残ります。

⇒「誰から」「誰へ」受益者が引き継がれたか、その経緯が分かるようになっています。

4信託条項

1 信託の刻的

2 信託財産の管理・運用方法

3 信託の終了の事由

4 その他の信託条項

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