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民事信託コラム 第7回 『民事信託契約の終了方法及び民事信託契約時の注意点について』

2016年07月06日

前回の民事信託コラム第6回で紹介しました、「受益者連続型信託」の仕組みについては概ねご理解いただけたでしょうか?

民事信託の大きなメリットとして「受益者連続型信託」を説明した際に、良く受益者連続型の信託契約を行った場合、当初「委託者」=「受益者」と「受託者」との間で交わした契約で2次受益者、3次受益者を既に指名して契約をした場合、何らかの問題で契約を終了するにはどうすればいいのかとの質問が出ます。

この場合、前回の例で言う委任者「山田父親」兼受益者「山田父親」と受託者「山田長男」の間で何の問題もなく、円滑に信託契約に記載された信託条項が履行されていれば、当初契約の委任者であり受益者でもある「山田父親」が亡くなった場合は、契約で指名されている2次受益者の山田長女に受益権が引き継がれ、受益者「山田長女」と受託者「山田長男」の契約関係となり、既に死亡された「委任者」であり「受益者」の「山田父親」は当初契約で結んだ信託条項でその意思は引き継がれるも、死亡後は当然のごとく全く山田父親の名前は登場することはありません。

「山田父親」が死亡後、2次受益者の「山田長女」と受託者の「山田長男」との間で、何らかの問題が発生した場合は、受益者と受託者の双方の話し合いでお互いが同意すれば契約を終了することが出来ます。今回の例で言うと「山田長女」と「山田長男」の双方の同意で当初3次受益者が指名されていたとしても、契約は終了となり、契約の世界から民法の世界に戻り「受益者」が「所有者」となります。

他にも、契約の終了については信託法第163条に規定されている「受託者」が「受益者」の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したときや「受託者」が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき等は、信託契約の終了事由に該当することとなり信託契約がいわば強制終了することになります。

そのため、最初の契約の段階で、如何に将来発生する可能性のあるリスクを把握し最大限の処置を講じておかなければならないかが重要となってきます。

また、信託法第91条には「受益者連続信託は契約時から30年経過後の受益者の死亡によって受益権を取得した受益者をもって終了する」といった受益者が永久に続いてしまうなら、いつまで経っても最終受益者が誰なのだか分からなくなるのを防ぐための、俗にいう「30年ルール」というものもあります。

あと、民事信託契約時に特に注意しなければならない点ですが、民法の世界では相続財産を貰う権利のある法定相続人の範囲や相続割合が規定されており、かつ、遺言により法定相続人の遺留分が侵害された場合は、遺留分減殺請求権があって最低限の相続財産が貰える権利を主張できますが、民事信託契約は、委任者の意思で相続財産を受取れる人を個別に指定できることから、法定相続人と言う概念がなくなり、民法の世界では遺留分を侵害された者が遺留分減殺請求を行う事が出来ますが、民事信託の世界ではこのような制度はなく、特定の法定相続人を排除することが出来ます。

こうした、相続財産を貰う権利を奪ってしまう事が可能となる怖い一面を持っていることから、民信託契約を結ぶ際には、家族間で十分話し合いをして頂かないと、大きな揉め事に発展して行く可能性を秘めているので、専門家から契約内容を十分説明していただき、家族が十分理解し納得していただくことが大変重要です。

次回は、民事信託の様々な契約形態について例を取り上げながら、解説して行きたいと思います。

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