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民事信託コラム 第8回 『介護施設に入所した場合の空き家対策について』

2016年07月27日

前回の民事信託コラム第7回では、民事信託契約の終了方法や民事信託契約時の注意点などを紹介しましたが、如何でしたでしょうか?

今回から民事信託契約を活用した事例を紹介しながら、民事信託のメリットについて説明させていただきます。

弊社は介護施設を建設し、維持管理を行っているグループ会社があるため、よく介護施設を訪問し、民事信託のメリットを活かし入居者様やそのご家族様のためのお役に立てないかと思い、ご相談をお受けしております。

その際、よく出る話で施設に入所した一人暮らしの母親(父親)が住んでいた自宅が施設に入所したことにより空き家になって困っているとの相談を受けます。

この、悩みを解決するのに正にピッタリなのが民事信託契約になります。この後、母親が今まで住んでいた一戸建の自宅を残し介護施設に入所した場合のケースを基に、民事信託契約を行わなかった場合と民事信託契約を行った場合を例にとって比較しながら説明して行きます。

<民事信託を使わなかった場合>

入所直後は、母親も元気で自宅の管理については何も問題なかったのですが、入所後、年数が経過するごとに徐々に認知症の症状が現れ、母親の意思判断能力が失われた状態になってしまった場合、自宅の管理や処分は大きな問題となります。

息子が近くにいれば、自宅の管理や修繕はできる思といますが、別居して遠隔地に居住している場合など、家は手つかずのまま放置された状況となり、売却できる状態を維持するのも困難となり、そのまま放置すると空き家特措法の対象となる家屋になる可能性もあります。

また、母親の生活費や施設利用料等を捻出する目的で、使用していない自宅を売却しようとした場合、所有権登記が母親名義となっている家屋については、母親が認知症で意志判断能力が喪失していたとすれば、自宅の売却はできません。

成年後見制度で被後見人のために後見人が選任され財産管理を任せられたとしても、成年後見制度は被後見人の財産を保全するのが目的であるため、被後見人の財産を減らすための行為にあたる、売却については家庭裁判所はほとんど認めてはくれません。

この時点で、母親の財産が凍結され売却・処分といった行為が全くできなくなります。

<民事信託を利用すると>

施設に入所と同時に自宅の所有者である母親を「委託者」、息子を「受託者」、そして「受益者」を母親にする信託契約を元気なうちに息子と締結します。

そうすることにより、母親は入所後、入所前と同じように自宅に帰宅して自宅の清掃や庭の手入れ等、今までと全く変わらない生活が出来ます。

入所後数年が経過し、認知症を発症し徐々に判断力が低下し、最後意志判断能力が喪失しても、自宅が信託財産として信託契約していれば、息子の判断でその自宅を処分(売却)することも、増改築等を行い賃貸物件として他に貸すこともできます。信託契約により息子の判断で自由に処分(売却)・活用できるわけです。

信託財産である自宅を売った時の売却代金は受益者である母親のもので、その管理を息子が行い、母親のための生活費や施設使用料等に有効に使うことになります。

最終的に母親が他界し信託財産であった自宅を売却した現金が残ったら、これは相続財産として息子が取得することになります。

このように、今回紹介させていただいた「介後施設入所後の自宅をどうすればいいのか分からない。」と言った方を例にとって、民事信託には大きなメリットがあることを紹介してきました。

次回もこうした身近な事例を基に、民事信託契約の様々な活用場面を紹介していくことにします。

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