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民事信託コラム第9回 『アパート等のオーナーが活用できる民事信託について』

2016年08月22日

前回の民事信託コラム第8回では、介護施設に入所した場合の自宅の管理について民事信託契約の有効性を紹介しましたが、如何でしたでしょうか?

今回はアパート等のオーナーが抱える問題について、民事信託を活用した解決策について紹介していきます。

まず、現在おかれている場面ですが、駅に近く、近くに大学等があり、比較的に出入りの多い収益物件のアパートを2棟保有する85歳の父親がいるとします。父親も高齢となり体も不自由な中、ある日アパートの周辺の草むしりをしていたところ転んで足を骨折し入院してしまい、寝たきりの状態が続くことから急速に認知症の症状が進み意思判断能ができなくなったとします。

そのような中、父親の保有するアパートに新規入居希望者が来た際、長男が父親に代わり賃貸借契約を代筆により契約行為を行っています。

このようなケースはよくあることだと思いますが、実は本来から言えば賃貸借契約は法律行為ですので、家族が代筆し契約を締結するような行為は認められません。法律上大きな問題があります。

また、将来いずれ訪れるであろう「大規模修繕」や「建て替え」、「売却」といった行為は、所有権を持つ父親の意思判断能力がなくてはできない行為であり、事実上2棟のアパートは父親が死亡し相続が発生するまで何も手出しができない状況、いわば凍結された状況となります。

さて、このような状況を回避するにはどうすればいいでしょうか?

こういった状況を回避できるのが、正に民事信託契約なのです。

収益物件のアパート2棟の所有者である父親を「委託者」として、家族の中で長男を「受託者」とします。そして収益として得る家賃を受け取る権利者となる「受益者」を父親とした民事信託契約を父親が元気なうちに締結し、長男と共にアパートを管理していけばいいのです。

そうすることにより、将来父親の意思判断能力が低下した場合、受託者として収益物件を託された長男が財産の管理処分権限をもって、「賃貸借契約」をはじめ将来訪れるであろう「大規模修繕」、「建て替え」、「売却」等、あらゆる契約行為が可能となります。

今まで違法行為と思いつつも行っていた、父親の代筆で行っていた賃貸借契約の締結から解放されることになります。

民事信託契約の締結では、アパート2棟あるものを長男に1棟、長女に1棟と個別に「受託者」を分けることが出来、将来相続が起きた場合でもそれぞれの物件の承継先を明確にしておけば、別途遺言で指定したり遺産分割協議をしなくても父親は自分の意思どおりに相続させることができます。

民事信託はこうした大きなメリットがあります。次回もこうした事例を基に様々な活用法について紹介していくことにします。

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