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民事信託コラム第10回 『マンション建設中に契約者が認知症になったとしたら?』

2016年09月21日

前回の民事信託コラム第9回では、アパート等収益物件を保有する高齢のオーナーが事故で入院し、急速に認知症の症状が出た場合、アパート等の収益物件の管理をどうすればよいのかについて、民事信託を利用しない場合の状況と民事信託契約を利用した場合の有効性について紹介してきましたが、如何でしたでしょうか?

今回はマンションを建設中に契約者の父が認知症を発症した場合を例にとり、建設中のマンションが抱える問題点とその問題を解決するための民事信託の活用方について紹介していきます。

まず、現在おかれている場面ですが、高齢の父親が相続対策として父親名義の土地にマンションを建築する予定で2年前から準備を行い、銀行の融資も下り、いよいよ着工の運びになったとします。

マンション完成(竣工)まで残りあとわずかと言った時期に不幸にも父親が怪我で入院し認知症を発症しました。

家族は、配偶者は既に死去しており、長女と長女の子(孫:男40歳)一人がおり、その孫は既に養子となっており、実質的な相続人は2名だと仮定します。

このケースで、マンションの計画段階は父親も元気で何ら問題とならなかったが、マンション建設の場合、計画段階から竣工までに2年以上は要することから竣工までの間に父親が認知症を患い、意思判断能力を喪失した場合は、最終的にマンションが完成した際の建物の引き渡しや建物登記、あるいは金融機関からの融資に支障が出てきます。

つまり、建設中のマンション工事や竣工後の手続きが中断しかねない状況に陥ることになりかねません。

この解決方法としては「成年後見制度」がありますが、これを利用すると家庭裁判所との許可が必要となり、マンションのその後の管理、賃貸契約、管理契約等の柔軟な運営に支障が出ることが予想されます。

こうしたケースにも民事信託契約は非常に有効に機能します。

先ず、相続人の1人である孫を受託者として設定し、土地については委託者を父親(孫の祖父)、受益者を父親とし、マンションの建築請負契約、銀行の融資申込者を受託者の孫として民事信託契約を締結します。

そうすることによって、マンション建設計画段階から最終的にマンションが完成するまでの間に、仮に父親が意思判断能力を喪失したとしても、新築のマンションは信託財産として受託者の孫の名義で登記は可能であり、受託者の孫が金融機関との手続きを行う事も出来ます。

その反面、受益者が父親となっていることから、新築マンションの家賃収入、銀行から融資を受けた借入金の返済などは受益者である父親が負担することになり、民事信託契約時に作った信託口口座から入金・支払いが行われることになります。

ゆえに、受託者である孫が契約に関する手続きや、その後の物件の管理を孫自身の権限で行う事が可能となり、父親が認知症となった場合に支障となる問題を回避出来ることになります。

ただし、この信託契約を組む際には、事前にマンション建築を行う建築会社や借入先の金融機関とは十分な調整が必要となります。

こうしたマンションの建設工事のような計画段階から竣工に至るまで、長期間を要する工事については、最近の動きとして住宅金融支援機構が民事信託の有効性を認識し、建築計画段階で信託契約を締結するように既に水面下で動き出しているとの情報があることを付け加えておきます。

民事信託はこうした大きなメリットがあります。次回は、最近たびたび質問が出てきている信託契約と関連する税金関係について紹介していくことにします。

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